2月11日、千葉県の松戸市で多文化共生講演会の俯瞰的な参画と進行サポートをいたしました。
松戸市はあの「矢切の渡し」で知られる街。市の職員の皆さんの名刺にも渡し船があしらわれています。
そして、近年増加の一途の外国人住民との共生を目指し、「多文化共生の街推進指針」を策定されています。
そんな松戸市様から「講演会のハンドリングを」とお声がけをいただきました。
3部構成で、第1部は福田一也がやさしい日本語のセミナーを担当。
第2部は老邑敬子がファシリテーターとして、松戸市の外国人に本音を聞くパネルディスカッションを進行。
そして、第3部は市民の皆さんと外国人を交えてのグループワークショップ。
ここでは、互いの困りごとをざっくばらんに話し、その共有と解決方法を模索しました。

参加者は、地域の日本語ボランティアをされている方や国際高校の先生など、普段から外国人と接触することが多い方々でしたが、日常のコミュニケーションに不安を感じる場面もあるということでした。
今回は、松戸国際高校から高校生も3名参加してくれました。17歳からアラ80歳まで幅広い年代、
総勢27名の和気あいあいとしたイベントとなりました。
第1部のやさしい日本語のセミナーでは、福田節がさく裂、みなさんを笑いと学びの世界へと誘い、
大きな拍手をいただいきました。

第2部は、松戸市で暮らす外国人5名のパネルディスカッション。
10年以上日本で暮らす、ほぼネイティブの方から留学生まで、パネリストの日本語のレベルはさまざまでしたが、
老邑は“やさしい日本語”で進行し、2部終了後に外国人の方からも日本人の方からも、
言葉がわかりやすかったとの感想をいただきました。
パネリストからは、「オノマトペは調べてもわからないので、スルーします」、
「自転車を買ってから乗るまでに登録、保険、駐輪場といろんなハードルがあって一苦労」、
「ごみの分別が日本で受け入れられるための基本だと後輩に言ってます」など、「へぇー」な話が次々に出て盛り上がり、
ファシリテーターがタイムキープで焦る場面も。
さらに第3部の市民と外国人でのワークショップでは、共生を掲げる松戸で、今どんな問題があるかを掘り起こします。
「町内会に外国人に入ってもらいたいけど、どうしたらいいか」
「ごみの分別も、パンフレットを渡すだけではダメ、対面で説明、話をする人が市役所に要る」などと、
問題の共有や実践的なアイデアが飛び出しました。
グループごとの発表を終えたときには20分超過という、うれしい延長戦でした。

講演会を終えて感じたのは、共生には結果や成果を気にせず、まず、「場づくり」が大事なこと。
そして、やさしい日本語は、対岸と往来するための渡し船であるということでした。 (記:老邑)
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