30歳のやさしい日本語

不気味な地鳴り

ガラスの砕ける音

遠吠えする犬の声

誰かが誰かを呼ぶ声

そして

突然の静寂

あの朝

やさしい日本語の生まれた朝

 

阪神・淡路大震災から30年目の2025年1月17日、

長浜市の商工会議所でやさしい日本語の講座を行いました。

 

講師は私、老邑、アシスタントは福田が担当しました。

 

この大きな地震がきっかけで、やさしい日本語が生まれたことは、

今では多くの人たちが知っていますが、もし、この災害に見舞われなかったら、

やさしい日本語は生まれていたのだろうかと思いを巡らせたことは、一度や二度ではありません。

西宮で被災した私にとって、この日に演台に立てることは、感慨深いことでした。

 

 

講座は、日本に在留する外国人の国の旗を使い、当ててもらうクイズからスタート。

 

視覚から日本の外国人事情を理解し、さらに、地域の外国人事情も知っていただこうと、

最近私がよく使う古くて新しい手法です。

アナログ的ですが、その地域と日本全体の差を肌で感じてもらえます。

在留外国人の国籍の人口順に旗を並べてみると、日本と長浜とではかなり違うことが分かります。

 

日本全体では中国人の数が1位ですが、長浜にはブラジル人など南米の人が多く、中国は4位。

日本全体では31位のボリビアが、長浜では中国に続き、5位という意外な事実がビビッドに伝わります。

 

今回の講座には、同僚として、また、地域住民としてふだんから外国人と交流しておられる方が多く、

やさしい日本語への関心を強くお持ちだと感じました。

 

 

いつものように、やさしい日本語のレクチャーのあと

ワークショップを行いました。

仕事での指示をやさしい日本語で行う問題では

「あさイチに点検」「レバーをギュッと握る」

「ガタついたり異音がしたら」等、

難度が高い言い換えを難なくクリア。

普段からやさしい日本語の必要性を感じて、

取り組んでおられる様子が伝わってきました。

 

また長浜の高時川が氾濫するという、疑似防災無線を作成し、

これを聞いて、外国人に説明するという問題も出題。

「避難指示」や「垂直避難」という言葉も、

満点のやさしい日本語に言い換えられ、

講師も舌を巻くほどでした。

 

わたしたちの長浜市でのやさしい日本語の講座も4年目を迎えました。

今回、やさしい日本語が確実に根付いていることを感じた講座でした。

 

 

30歳になったやさしい日本語。

誕生当初の災害時の支援、救済という目標はもちろん、教育、訪日支援、看護、介護、高齢者対応など、

多くのフィールドに広がりを見せています。

私たちチームやさしい日本語も、様々な場面に対応できるよう研鑽を重ねたいと思います。(記:老邑)

 

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コメント: 1
  • #1

    Sarina (火曜日, 21 1月 2025 18:15)

    易しい日本語カフェが三重県紀宝町にありますか。日本語で何と言いますか。