日本在宅看護学会学術集会で、 看護のやさしい日本語講座を。

 2024年11月16日、千葉県の船橋で「日本在宅看護学会第14回学術集会」が開催されました。

この集会で、「看護のやさしい日本語~命を守る言葉として~」をテーマにした講演の依頼をお受けし、

講師を老邑が務めました.

 

 

 今回、講座が終わるとすぐ、女性が歩み寄ってこられ、「空港の医療機関で働いていますが、外国人の患者さんとのやり取りが、

いつも『もやもや』した感じで、どうすればいいのか悩んでいました。今日の話を伺って、すっきりしました。」と、目を潤ませて

話してくださったり、医療関連書籍の出版社の方に、「気づきがありました。今後の仕事のヒントになりました」との言葉をいただいたりと、講師にとっても感慨深い講座となりました。

 

講座では、始めに、在留外国人の人数や特性、看護、介護でのやさしい日本語のニーズなどをレクチャーしました。

事前に、外国人の在宅看護の状況を取材しましたが、会場で、「外国人の在宅看護の経験のある方」という問いに、

ほとんどの方が手を挙げられた時は、改めて外国人住民の人口の増加を感じました。

また、被看護者が外国人であることはもちろん、被看護者が日本人で、その配偶者が外国人というケースも多く、

コミュニケーションに苦労されている様子が覗えました。 

 

 

さらにレクチャーでは、注意が必要な「看護で使われる言い回し」について取り上げました。

例えば、「薬は3時間おきに飲みます」「薬は3時間ごとに飲みます」はどう違う? どう言う。

お薬、お熱、お会計などのように「お」をつけると、知っている言葉でもわからなくなること。

「チクチク」「ヒリヒリ」など「痛みを表現するオノマトペ」を使わずに、痛みを説明する。など。

参加されていた看護学校の学生さんの、メモを取る真剣な姿が印象的でした。

 

後半の、単語や文の言い換えのワークでは、現場でテキパキと働いておられる様子が伝わってくるビビッドな反応。

「○○さん、今日は珍しく間食/完食されました」はこちらの意図を汲んで「おやつを食べました」「全部食べました」などと、

同音異義語にすぐ気づいて、言い換えてくださいました。

 

看護の場では、伝わっているか、理解しているかを確認することが大事ですが、「わかりましたか」と聞かず、

「この薬は何時に飲みますか」や、「昼ご飯はどこで食べますか」など、いわゆるオープンクエスチョンで聞くことが大切であることを、

最後にお伝えしました。

 

今日の講座が、明日の看護の現場で役立つことを祈りつつ、終了しました。   (記:老邑)